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東京高等裁判所 昭和56年(行コ)2号 判決

控訴人(原告) 学校法人山崎学園

被控訴人(被告) 千葉県知事

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取り消す。本件を千葉地方裁判所に差し戻す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上、法律上の主張及び証拠関係は、次のとおり付加訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決一三枚裏三行目に「市川市」とある次に「幼稚園」を挿入する。)。

(控訴人の主張)

一  幼稚園の適正配置は、「幼児教育の機会均等」及び「教育内容の充実」の見地から行われるべきものであるが、ここにいう「幼児教育の機会均等」とは、幼稚園を新設するに際しては、既設幼稚園の設置状況をじゆうぶん勘案し、一定の地域に幼稚園が集中しすぎることを排除し、その反射的効果として、従来幼稚園がなかつた地域にも幼稚園が設置され、その地域の幼児に入園の機会が与えられるようになることを意味し、また、「教育内容の充実」は、既設幼稚園の設置状況をじゆうぶん勘案し、幼稚園の集中による幼児不足のために教育の効果が減少したり、財政基盤の安定がそこなわれて人的物的教育施設環境が不十分となることがないようになることを意味するものである。

園児の健康管理と保育上の効果のために通園距離が遠すぎてはならないという原則と適正配置とは関係がない。この原則から問題となるのは、幼児と新設園との距離関係だけであり、新設園と既設園との位置関係は全く問題とならず、新設園が既設園と隣接して設置されても差し支えないはずであつて、この原則からは幼稚園間に一〇〇〇メートルの距離をおかなければならないとの結論は出てこないのである。

二  控訴人は、経営の利益や独占的利益の保護を求めているのではなく、教育内容の充実をはかるための園の財政基盤の保護を求めているのであり、逆にいえば、教育内容の充実と財政基盤を危くするような新設園が認可されては困るといつているのである。本件処分のため、控訴人の園児数は、本件処分直前の一九〇名から現在では一二一名に減少し、教育内容の充実と財政基盤に著しい影響を受けており、控訴人には本件処分の取消を求める法律上の利益がある。

(被控訴人の主張)

控訴人の右主張は争う。

(証拠関係)〈省略〉

理由

被控訴人は、本案前の抗弁として、控訴人は本件幼稚園設置認可処分の取消を求める法律上の利益を有しないと主張し、控訴人は、これに対し、幼稚園の「適正配置条項」を定めた法令により、既設幼稚園の設置者たる控訴人は、適正な認可制度の運用によつて保護されるべき法的利益を有する旨を主張するので、「適正配置条項」が控訴人主張のような法的利益を保護するものかどうかについて判断をすすめることとする。

一  学校教育法第三条は、「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編制、その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」と規定し、学校教育法施行規則(昭和二二年文部省令第一一号)第一条第二項は、「学校の位置は、教育上適切な環境に、これを定めなければならない。」と定め、幼稚園についてはさらに幼稚園設置基準(昭和三一年文部省令第三二号)第七条第一項が、「幼稚園の位置は、幼児の教育上適切で、通園の際安全な環境にこれを定めなければならない。」と定めている。すなわち、幼稚園の設置される場所の環境については、それが幼児の教育上適切で、通園の際安全なものでなければならないとされているのであるが、以上の法令に幼稚園の適正配置に関する直接の規定は設けられていない。

二  しかし、成立に争いのない乙第一号証の五、六、八、九、一二、一三、同第四号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第一五号証、同第一六号証の一、二、同第一七号証、同第二三号証の一ないし四、同第二四号証の一ないし三、身分証明書、小学校教諭一級普通免許状、戸籍書及び不動産登記簿(表題部)の部分については成立に争いがなく、その余の部分については当審証人宮崎勝美の証言によつて成立の認められる乙第二号証、当審証人山崎和男の証言により成立の認められる甲第二一号証の一ないし一五、当審証人小川篤之助、同山崎和男、同宮崎勝美の各証言を総合すると、次のような事実が認められる。

1  昭和三一年一二月二七日文初初第五四七号文部事務次官通達「幼稚園設置基準の制定について」(以下「次官通達」という。)は、幼稚園設置基準の制定の趣旨及び特に留意すべき点を示すほか、同基準の実施に関連し、幼稚園の設置者について留意されたい事項の一つとして、「幼稚園を新たに認可する場合は、すでに存する幼稚園との位置その他について、幼児教育の機会均等、教育内容の充実等の見地から適正な配置となるようじゆうぶん考慮願いたい。」としている。

また、昭和三九年八月七日文初初第五七九号文部初等中等教育局長、文部省管理局長通知「幼稚園教育の振興について」(以下「昭和三九年局長通知」という。)は、市町村及び都道府県における将来を見通した幼稚園拡充整備計画の立案、策定に関し、「地域の事情に即するように具体的な考慮を加える必要があるが、原則として人口おおむね一万人の地域に対して、一幼稚園(標準規模四学級)を配置するようにすることが望ましいこと。なお、幼稚園の位置については、幼児の発達段階や気候、地勢、交通機関など地域の実情からみて、幼児の通園距離が適度であるようにじゆうぶんの配慮をすること。」、「幼稚園の設置にあたつては、その配置に関し、既設の公立および私立の幼稚園の設置状況等をじゆうぶん勘案すること。」などの点を配慮するよう指示し、さらに、学校法人でない幼稚園の学校法人化の促進に関する昭和五一年文管企第二七七号文部省管理局長、文部省初等中等局長通知「幼稚園を設置する学校法人の認可基準等について」(以下「昭和五一年局長通知」という。)は、「既設の私立の幼稚園の学校法人化を促進するに当つては、公私立幼稚園の適正配置について一層配慮するものとし、現在実施中の幼稚園振興計画(昭和四八年一一月三〇日初等中等教育局長通知)が既設幼稚園の存続・充実を前提として計画されていることにかんがみ、管下市町村における公私立幼稚園の拡充整備に当たつては、当該市町村においても、条例等による公私立幼稚園の連絡協議会を設けて、その拡充整備の計画を事前に十分審議する等により幼稚園関係者の意見を徴する機会を設けるよう指導の徹底を図られるよう願います。」としている。

2  私立幼稚園の設置の認可の権限は都道府県知事に属するところ(私立学校法第五条第一項第一号、第四条第二号)、千葉県においては、昭和四八年四月一日に決定された規定「千葉県私立幼稚園設置認可要領」第三条が「幼稚園の位置は、幼稚園設置基準(括弧内略)第七条第一項に規定するもののほか、既設幼稚園等との距離を勘案し、適正な配置となるようにしなければならない。」と定め、昭和四二年一月一六日総第二八号各幼稚園設置者あて千葉県総務部長通知「幼稚園の適正な運営について」は、通園バスの使用を原則として認めない理由の一つとして「幼児の健康管理上、徒歩通園可能距離は年令等によつても異なるが、おおむね五〇〇メートルと定められており、これら等を考慮し従来から各幼稚園間の適正距離を一〇〇〇メートルと定め、その適正配置に努めているが、通園バス使用によつて園児の就園範囲が拡大されることは適正配置の趣旨にもとることともなること。」をあげている。もつとも、新たに幼稚園を設置しようとする場所から半径一〇〇〇メートル内に既設幼稚園があつても設置が認可される例も必ずしもまれではなく、控訴人が昭和四七年三月一五日に設置認可を受けたいなほ幼稚園の場合も、五六〇メートルのところに真間山幼稚園が、九〇〇メートルのところに須和田幼稚園があつた。

3  千葉県では、県知事に学校の設置認可を申請しようとする者は、その申請に先だつて、設置に関する計画について県知事の意見をきかなければならないものとされ(昭和四八年三月三〇日千葉県規則第一五号私立学校関係法施行細則第四条)、このため県知事に提出すべき書類等のなかに、附近における同種学校の分布図のほか、幼稚園の場合には、附近一キロメートル以内の三才から五才までの幼児数を地区別に記載した書面が含まれている。半径一キロメートル内の幼児数については、県の独自の調査も、地元市町村の教育長に照会をするという方法で、行われている。市川市には、市内の私立幼稚園の設置者によつて組織されている市川市私立幼稚園協会があるが、県は、設置認可について、地元の市町村教育長の意見のほか、右のような幼稚園協会の意見をも照会し、その回答は、千葉県私立学校審議会が県知事から諮問を受けた際の審議の参考資料とされる。設置計画者が近隣幼稚園の承諾を受け、その同意書を県知事に提出する事例も多く、控訴人の場合も前記真間山幼稚園、須和田幼稚園から口頭の承諾を受け、県の係官にその旨を口頭で伝えた。県の係官が設置計画者に対し近隣幼稚園の承諾を受けるよう示唆することもしばしばあつたが、近隣幼稚園の同意ないし承諾が設置認可を受けるために必要な要件とされていたものとまでは認められず、近隣幼稚園の同意書等が県知事に提出すべき設置計画書に必ず添付しなければならない書類とされていたわけでもない。なお、市川市内では、近隣の既設幼稚園が設置に同意せず、あるいは市川市立幼稚園協会が設置反対の意見を述べたにもかかわらず、幼稚園の設置が認可された事例は、本件の市川東学院三愛幼稚園の場合が初めてであつたが、千葉県内の他の市町村にはその例があつた。

三  そこで、叙上の法令、通達・通知、その他の認定事実をふまえて、被控訴人県知事が幼稚園の適正配置の方策をとる趣旨について考察をすすめる。

1  幼稚園は、戦後、学校教育法により、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする正規の学校教育機関とされた(同法第一条、第七七条)。幼稚園は、義務教育の機関ではなく、いわゆる六・三・三・四制にも数え挙げられていないその前段階のものであつて、同法においても、幼稚園については、「教育」ではなく「保育」の文言が用いられているのであるが、子どもの固有の権利である学習をする権利を保障するための公教育制度の一つなのであり、子どもには、ひとしく、その能力に応ずる幼児教育を受ける機会が与えられなければならないのである(憲法第二六条第一項、教育基本法第三条第一項)。戦後における幼稚園制度の普及は著しいものがあり、就園の対象となる満三才から小学校就学の始期に達するまでの幼児(同法第八〇条)の就園率も年々上昇し、最近では、ことに都会地の場合(市川市の場合もこれに属する。)、巷間準義務教育といわれることもあるほどのかなりの高率に達していることは公知の事実である。このような状況のもとにおいては、幼稚園における保育を受けることを希望する者に対しては、できるだけ多くの者の希望が実現されるようにすることが望ましいのはいうまでもなく、そのためには、できうる限り、各地域における幼稚園の数や規模が就園希望者の数に見合うような適切なものであることが要請されることになる。

2  幼稚園についてその適正配置を考えるにあたつては、就園児が満三才から小学校就学の始期に達するまで、すなわち三才から六才までの幼児であるため、その心身の発達段階については十分な考慮が払われなければならない。このことは、通園条件としての通園距離を考えるうえで特に重要である。遠距離通園は、交通安全上の問題もあり、幼児に心身の疲労をもたらし、健康管理上好ましくないばかりでなく、保育効果にも影響を及ぼすものと考えられる。このような点を考えると、幼稚園については、幼児教育を受ける機会の均等をはかるために、適切な通園可能距離を勘案した幼稚園の場所的な配置の適正が強く要請されるものといわなければならない。それと同時に、幼児がその家庭から通園可能な範囲内の幼稚園が限られてくるため、個々の幼稚園が、その人的物的設備において、幼稚園の目的・目標(学校教育法第七七条、第七八条参照)にそつた充実した内容の保育を実現することができるようなものであることもまた幼児教育を受ける機会の均等を実質上もはかるうえで欠くことのできないものというべきである。

3  次官通達は、幼稚園を新たに認可する場合は既設幼稚園との位置その他について適正な配置となるよう考慮することを指示しているが、それが幼児教育の機会均等、教育内容の充実等の見地から出たものであることは、右通達の文言から明らかである。昭和三九年局長通知が、幼稚園の設置にあたつては、その配置に関し、既設の公私立幼稚園の設置状況等を勘案すべきものとしているのも、それが市町村及び都道府県における将来を見通した幼稚園拡充整備計画の立案、策定に関するものであることなどを考慮すると、やはり、幼児教育の機会均等をはかる趣旨のものと考えられる。また、右昭和三九年局長通知が幼児の通園距離を考慮するよう指示し、被控訴人県知事が、幼児の徒歩通園可能距離をおおむね五〇〇メートルとみて、この距離をもとに幼稚園の適正配置に努力していることも、幼児の発達段階に考慮を払いつつ幼児教育の機会均等をはかるという見地から合理的なものということができるとともに、右の見地からは、就園を希望するすべての幼児は、その家庭から徒歩通園が可能な五〇〇メートルの範囲内にある幼稚園に通園することができるように幼稚園が配置されていることが望ましいわけであり、被控訴人県知事が各幼稚園間の適正距離を一〇〇〇メートルと定めているのも、このようなことを配慮したものと解されるのである。被控訴人県知事が一〇〇〇メートル内に既設幼稚園があつても新たな幼稚園の設置を認可する例が必ずしもまれではないのも、このことを裏付けているものといえよう。

控訴人は、適正配置が幼児教育の機会均等の見地から行われるのは、一定の地域への幼稚園の集中を排除し、その反射的効果として不足地域に幼稚園が設置され、その地域の幼児に入園の機会が与えられるようにするためであると主張するが、このような見解は採用することができない。幼児教育の機会の均等とは、すべての幼児が、ひとしく、その能力に応ずる幼児教育を受ける機会を与えられることをいうのであるから、この見地からは、幼児の家庭から適切な通園距離内にまだ幼稚園が設置されていない地域、あるいは、幼稚園があつてもその数、規模が周辺の幼児数に比較して不足している地域など、幼稚園の配置の現状からみて幼稚園の不足している地域に幼稚園を設置していくことが最大の課題となるのであり、次官通達及び昭和三九年局長通知からもこのような趣旨を読み取ることができるのである。この課題は、一定地域への幼稚園の集中の排除の反射的効果をまつというのではなく、積極的に解決されていかなければならないものなのであり(このことは、公立幼稚園の設置場所を選定するうえにおいても重要な指針となるものと思われる。)、一定地域への幼稚園の集中を排除しても、そのことが不足地域への私立幼稚園の新設にどの程度の効果を及ぼすかには疑問もあるが、仮になんらかの効果があるとしても、以上の見地からするときは、不足地域への幼稚園の新設を誘導するという目的を達成するための方策の一つとして、既に充足されている地域への新設を抑制するという観点からとらえられるべき問題であり、既設幼稚園の保護自体がその目的であるとは考えられない。

4  ところで、幼稚園が新設されると、そのために多かれ少かれ近隣の既設幼稚園が将来入園してくる幼児数のうえで影響を受けるであろうことは、容易に考えられるところである。この影響は、両幼稚園間の距離そのものよりも、当該地域における幼児の分布状況や各幼稚園のもつ保育方針の特色によつて左右されるところが大きいとも考えられる。いずれにせよ、幼稚園については、就園率がかなり高くなつてはいても、義務教育とはされておらず、国・公立のものはなおその数が少くて、多くは私立であり、しかも小規模のものが多いことは公知の事実であり、当審証人山崎和男の証言によると、園児数が学則に定めた収容定員に満たなくなると、これに伴い保育料等の収入が減少するばかりでなく、県からの補助金も減額されることが認められ、私立幼稚園においては、園児数の減少が幼稚園運営の財政的な基盤に暗い影を落すことがありうることも否定しえないところである。幼児教育の実質的な機会均等をはかるためには、すべての幼稚園が充実した内容の保育を実現しうるものでなければならないのであるから、実質的な機会均等をはかる見地からは、幼稚園の数さえ多ければよいというものではなく、幼稚園の設置認可にあたる行政庁が、その設置により近隣の既設幼稚園が受ける園児数減少等の影響などについても配慮することは、むしろ当然のことがらといえる。この意味で、千葉県において、幼稚園を設置しようとする者に、附近の同種学校の分布図のほか、附近一キロメートル以内の地域別幼児数を記載した書面を提出させ、右幼児数については県も独自に調査をし、さらに、千葉県私学審議会の審議の参考資料とするため地元幼稚園協会の意見を照会するという取扱いが行われているのは、当を得たものということができ、また、昭和五一年局長通知が、既設幼稚園の拡充整備についても市町村内の幼稚園関係者の意見を聴取する機会を設けるよう指示しているのも相当ということができる。

しかし、右のように、幼稚園の適正配置を検討するにあたつて、幼稚園を新設することによる既設幼稚園への影響をも配慮するというのは、その主たる目的が幼児教育の機会均等を実質的にもはかろうとするところにあるのであり、既設幼稚園の設置者の利益を保護するために幼稚園の集中を排除するところにその目的があるものとは解されない。右のような配慮の結果、既設幼稚園の設置者において、毎年相当数の幼児を入園させることができ、幼稚園を経営する財政的な基盤の安定をはかるうえで利益を得られ、かつ、その利益が教育内容の充実と事実上つながるものであるとしても、以上の関係法令、通達・通知、行政上の運用等からは、右の利益をもつて既設幼稚園の設置者に対して付与された法的利益とまでは認めることができず、右の利益は、反射的利益にとどまるものというほかはない。このことは、市川市においてこれまで半径一キロメートル内の近隣幼稚園の同意がなく、市川市私立幼稚園協会が反対したのに設置が認可された事例がないというだけで別異に解しうるものではない。また、近隣幼稚園及び地元幼稚園協会の意見は、幼稚園の新設が既設幼稚園に及ぼす影響を調査するうえで参考となるものと考えられ、被控訴人県知事ひいてはその諮問を受ける千葉県私立学校審議会が設置認可の可否を検討するにあたりこれを斟酌することは、既に述べたとおり当を得たものではあるが、このことから逆に、近隣幼稚園及び地元幼稚園協会の同意がない限り幼稚園の設置を認可することが許されないとの結論が導き出せるわけのものではなく、被控訴人県知事が幼稚園間の適正距離を一〇〇〇メートルと定めていることが、既設幼稚園の設置者に対し、その意に反して一〇〇〇メートルの範囲内に他の幼稚園の設置が認可されることはないという法的地位を付与するものであるとは解されないのである。

四  以上のとおりであるから、結局、控訴人は本件認可処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有するものと認めることができず、本件訴は原告適格を欠く者が提起した不適法なものとして却下を免れないのであつて、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は失当としてこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 小林信次 平田浩 河本誠之)

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